⑩タオルの取引条件・輸送方法を決める

タオルの作り方10か条の「第10か条」は、作りたいタオルの「取引条件・輸送方法」を決めます。タオルを海外で生産し、貿易取引において重要なのは、「リスク管理」と「コスト管理」です。

取引条件と輸送法を決める時の「タオル貿易のいろは」をご紹介します。

タオルの取引条件を決める

「FOB」「C&F」「CIF」などのように、アルファベット3文字で表される取引条件を良く耳にすると思います。費用負担・範囲などの取引条件を定めた国際規則インコタームズ(Incoterms/International Commercial Terms)は、現在11種類の取引条件があります。

初めに「取引条件」を明確にします。

タオルの貿易で使用される「取引条件」は、別表の⑨~⑪「FOB」「CFR(C&F)」「CIF」です。工場へ見積依頼するときに条件を指定して金額をもらいます。この条件の詳細はこちらで説明していますが、売主(輸出者)が買主(輸入者)へ商品の引き渡し義務と危険負担の完了場所や海上輸送運賃及び保険料の負担を明確にするための契約です。

次に「決済方法」を明確にします。

タオルの貿易で使用される「決済条件」は、大きくわけて3つあります。「T/T」「L/C」「D/P・D/A」です。

①T/T送金決済

貿易実務で使われている「T/T送金」(Telegaraphic Transfer)とは、国を超えた銀行同士の送金で決済する契約です。海外向けの銀行送金とご理解おただければOKです。前払いと後払いがありますのでご注意下さい。

L/C(Letter of Credit)決済

L/C(Letter of Credit)とは、輸入者(買主)の取引銀行が輸出者(売主)に対して商品代金の支払いを保証する契約です。(正確には、輸入者の取引銀行が「荷為替手形」による決済を保証する契約方法です)

L/Cは、売主(輸出者)及び買主(輸入者)にとって貿易実務の中で一番安心な方法と思われますが、L/C(信用状)の開設は少し面倒であり、コストもかかりますので取引銀行と良く相談して決めることが必要です。

D/P(Documents against payment)、D/A(Documents against acceptance)決済

D/P(Documents against payment)、D/A(Documents against acceptance)とは、L/C(信用状)を用いず「荷為替手形決済」をする契約です。(輸入者は、D/Pでシッパーユーザンスをつける事で後払いになりメリットがあります)

D/P,D/Aとは、「荷為替手形決済」による取引方法ですが、「L/C(信用状)」なしのため、輸入者の取引銀行による「荷為替手形」による決済の保証はありません。D/A取引の場合、輸入者は「前払い」となりリスクが存在しますが、D/P(Documents against payment)の場合は、輸入者(買主)がシッパーユーザンスをつけることで後払いとなりメリットがあります。

上記①、②、③の詳細はこちらで説明していますのでご参照下さい。

タオルを海外で生産して取引をする場合、商品の流れ・書類の流れ・お金の流れがバラバラで動くことになります。決済条件は非常に重要ですが、工場との力関係や慣行の違いによって思い通りにいかないこともあります。決済条件は、一度決めてしまうと後から変更するのがむずかしいことが多いので、お見積の段階でしっかり交渉する事をお勧めします。

また、ご自分のリスクを少しでも減らすためにきっちり決済条件の内容を把握することも重要と思います。

タオルの輸送方法を決める

海外で生産されたタオルは、海上輸送か航空輸送されて日本に輸入されます。当然生産国から日本への輸送には時間がかかりますから、納期に合わせて物流手段が決まります。

一番多いのはコンテナによる海上輸送ですので詳細をご説明します。

海上コンテナには20フィートコンテナと40フィートコンテナがあり、輸送する量によって使い分けます。

専用のコンテナを使用する場合は「FCL(Full Container Load)」と呼び、一荷主がコンテナを占有して荷物を送る方法です。一方、量が少ない場合は「LCL(less than Container Load)」と呼び、複数の荷主の荷物を1本のコンテナにしたてて(混載で)荷物を送ります。

輸送する段ボールの体積x数量でm3を計算して、「FCL」か「LCL」の最良の選択は、コスト管理において重要です。輸送費は、タオル代の一部(輸入費用は8種類の費用の合計)になりますので、どの手段で輸入するかは大事な選択になります。

タオルの本体だけを一生懸命工場と値段交渉して下げても、適切な輸送方法で輸入しませんと本当のコストダウンになりません。段ボールに商品を入れる入数、段ボールの大きさを調整するだけでも輸送コストは変わってきます。

一般的な梱包方法でコンテナ輸送したときでも、関税などを入れると商品代の10%はかかることが多いです。極端な場合輸送費が商品代の20%を超えてしまうことがありますから本当に要注意です。

タオルの仕入金額は、(FOBUS$x為替レート)+ 輸入諸掛費(関税含む)の合計金額です。

タオル本体だけでなく、副資材や輸送費や為替レート、関税を全部足してタオルの仕入代が計算されます。

後回しにせず、本体と同じレベルで考えてタオルを作られることをお勧めします。