皆様もご承知の通り、タオルを海外で生産した場合、取引は一般的に外国の通貨が使用されます。
為替相場(為替レート)とは、外国為替市場において異なる通貨が交換(売買)される際の交換比率です。
わが国で最も頻繁に目にする為替相場は円・USドル相場ですが、そのほかにも様々な通貨の組み合わせに関する相場が存在します。
ここでは、日本円、アメリカドル、中国元の3つの相場の推移をご紹介します。
2022年はタオル業者にとっては、ここ数十年の中で一番厳しい年だったのでないでしょうか。原料高に円安は輸入業者にとってはダブルパンチでした。為替はどっちに転ぶかわかりませんが、急激な為替レートの変化は経営を苦しめます。昨年末頃(2022年11月)から円安に少し歯止めがかかった感じで、年初は130円を切る場面もあり、少しほっとしましていた矢先、また円安に振れてきました。今年の後半には円安に振れていくと予想するアナリストもいますが、どうもそちらに向かっている気がしてきました。輸入業者の我々にとっては110円位まで戻ってほしいのが本音ですが、厳しそうな感じですね。引き続き毎月追いかけてご報告いたします。
まずは、日本円とUSドルの推移表をご覧ください。
3年間の日本円とUSドルの為替レート(TTS)の推移表(2023年06月01日更新)
2023年6月頭のTTSレート「140.19」でした。1か月前のレートが「137.84」でしたので、今月もまた少し円安に振れました。3年間のスパンで見れば、レートの平均は「121.05」ですので、まだまだ円安が続いています。
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1年前の2022年6月の相場(TTS)は「129.93」でした。昨年は、この辺からどんどん円安が進行し、気がつくと10月20日に32年ぶりに「150円」代を記録した、とんでもない相場でした。1年間で35円も為替が動ごいたのは、異常としか思えませんでした。最近ではアメリカの銀行が破綻するニュースもあり、世界が不安定なのは変わりません。そして日本の将来も危ぶむ中、今後も為替の動向から目がはなせません。
3年間の平均レートは「121.05円/USドル」でした。この3年間で円安と円高時の差が「約43.9%」ありました。2022年だけで「28.6%」も変動しています。直近10年でみると約60%動いています。為替って怖いですね。
3年間の中国元(RMB)とUSドルの推移表(2023年06月01日更新)
1年前の2022年6月頭の相場は「6.67」でした。グラフを見ていただけるとわかりますが、2020年7月「7.06」でした。2022年11月に14年ぶりに記録した「7.32」が瞬間の【元安ドル高】でしたが、その間は2022年3月に記録した「6.31」が底になり【元高ドル安】のV字型のグラフになっています。今年になってからは【元高ドル安】傾向へ振れたかと思いきや、6月頭は【元安ドル高】の「7.11」と大きくドル高元安に動きました。ドルの一人勝ちの感じです。どっちに触れていくのか、読みにくい状況です。
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中国工場で生産した場合、中国工場の見積通貨はUS$で契約することが多く、見積金額を決めるファクターとして大きくかかわってくるので、中国元とUSドルの為替レートも注意してみておく必要があります。
とっておきの工場との価格交渉テクニックをひとつ紹介します。
中国の工場にとって【元高】と【元安】は、どちらの方が良いと思いますか?
ズバリ【元安】です。
どういう事かといいますと、元高は言い換えるとドル安で、元安はドル高です。代金はドルで支払われますので、入金額を自国通貨に換算すると元高より元安の方が金額が増えるからなんです。日本でもTOYOTA、為替が1円変わると営業利益が450億円増えるとか言われていますよね。同じ原理です。
現在の3年間の平均レートは「6.69」ですので、今は【元安】です。価格交渉の時は、粘り強く工場と相談して決めて下さい。
3年間の中国元(RMB)と日本円の推移表(2023年06月01日更新)
この円元相場は、グラフの通り2020年3月から約32カ月ずっと右肩上がりの【円安/元高】が続きました。2022年10月に「20.88」を記録し、この3年間の円安/元高の最高値でした。そこをピークに、一方的な元高は一旦止まりました。2023年の年初は「18.90」まで下がり、一方的な元高はここで一服感が出てきたと思ったんですが、、、。そうは言っても、まだどっちに転ぶかわからない状況です。引き続き【円安/元高】に注意して下さい。
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この3年間で円安と円高時の差が約37.5%位ありました。 びっくりですね。わかりやすく言いますと、1万円を中国元に両替した場合、2020年4月の時は「660元」でしたが、2022年10月には「478元」にしかならないという事です。30%位目減りしたことになります。日本で給料をもらって中国で生活していたら本当に厳しいと思います。
日本円で決済することは少ないと思いますが、自国の貨幣価値が貿易相手国に対してどの程度変動しているかを把握しておくことは、重要なことだと思います。出張して日本円を中国元に交換するときに為替レートの変動を感じますが、統計的になかなかとっていないことが多いと思いますので、是非参考にしてください。
一生懸命工場と価格交渉しても為替の変動で利益が帳消しされることが多々ありますので注意が必要と思います。
長く中国と商売していますが、こんな円安は体験したことはありません。Good old daysにもどることを願うばかりですが、今の日本にそんな力があるのでしょうか、心配になります。
日本円を軸にした、USドルと中国元(RMB)の推移表はこちらをご覧ください。