2023年日本タオルマーケットのデータ(速報版)が今治タオル工業組合のホームページで公開されましたので、1997年~2023年の推移表を作成してみました。タオルマーケットの変遷とともに、海外製・日本製の推移も含めて考察して見ます。
2023年の日本のタオルマーケットは、「76,928トン」「前年対比98.9%」(△855トン)でした。ほぼ前年と同程度と考えられますが、気になるところは日本製のタオルが「13,165トン」「前年対比92.0%」(△1,134トン)だったので、日本製の減少がまるまるダウンしてしまった感じです。
昨年使われたタオルの「82.9%」は海外製でした。国産比率は「17.1%」に下がっています。日本製タオルの代表である「今治製タオル」は、全体の「9.9%」と、2022年の「11.0%」から下がっています。
日本のタオルマーケットの統計は、すべて重さで管理されています。
2023年の日本のマーケットの推移は、コロナ前(2019年)対比84.4%と厳しい状況が続いています。完全復活するまでには、まだ時間がかかりそうです。
2023年に流通したタオルは、76,926トンでした(タオルケットを除く)。重さではピンとこないのでフェイスタオルに換算してみると、アバウト9億枚位になるのでしょうか。概算ですが、結構たくさんのタオルが使われていますね。
重量ベースで昨年とほぼ横ばいでした。内訳は、輸入タオルは「約6万3千トン(前年100.5%)」、日本製タオルは「約1万3千トン(前年92.0%)」でした。輸入量としては、昨年を少しだけ上回りましたが(100.5%)、約20年前の水準まで下がってしまっています。日本製につきましては、昨年を下回り、歴代のワースト記録を更新する生産量でした。日本製の中の今治生産タオルは前年対比88.9%と大きくダウンし、コロナ前(2019年)対比では70.0%でした。
歴史を振り返って見ますと、海外製のタオルが日本製のタオルを上回ったのが、21世紀始まりの2000年でした。ここが節目となり、その後海外製が増えて日本製は減り続け、2006年から現在まで多少の増減はありますが、全体の80%(4/5)が海外製、20%(1/5)が日本製で定着していましたが、日本製が20%を割り全体の17.1%に下がってしまいました。
全体に占めるタオルの輸入比率は「82.9%」で、国産比率は「17.1%」でした。
日本人が世界で一番タオルが好きな国民ではないかと言われており、家の中で過ごす時間が多くなったことからタオルの需要は下がっていないと想像します。回復が遅れているのは、業務用(ホテルや飲食店)、芸能関連(コンサート)、娯楽施設での販売(テーマパークや映画館など)、ギフトマーケット(販促用含む)などがコロナの影響で大きく落ち込んだことが原因だと思っていましたが、それだけではなさそうです。円安も影響していると考えます。
日本人は、やわらかでふかふかのタオルがお好きですよね。これは日本の匠の技で開発されたものですが、時代の流れで海外でもたくさん作られるようになりました。タオルの原価構成比を分析すると、原料代(綿糸)に占める割合が高く、日本では綿花が作れないのでほぼ全量を輸入で調達しています。その為、日本製のタオルも円安・原料高の影響を受け、綿花代や油や電気代が高騰したために製造価格は上がってしまいました。
輸入タオルもコロナ禍で、円安・綿花高・輸送コスト高のトリプルパンチで苦しみましたが、それならば国産に切り替えたいと考えますが、残念ながらこの輸入比率を賄える生産設備は、もう日本でなくなってしまいました。
それでも、タオル業社の皆さまは、円安・原料高に負けないで安価で素晴らしいタオルを供給されています。海外のどこの国で生産したら消費者の皆さまに喜んでいただけるかを考え、切磋琢磨して頑張っていらっしゃいます。
日本経済が回復し、元のマーケット水準に戻ってほしいと節に願っています。
海外のどの国で作られているか、興味のある方は、こちらをご参照下さい。
昨年、一昨年のデータもご参考まで。