タオルは、「①地経糸(じたていと)」「②パイル経糸(たていと)」「③緯糸(よこいと)」の3本の糸で構成されているのはご存知だと思います。
タオルの風合いを決める要素に「筬」「打ち込み」の密度の他に「パイル倍率」「綿花の種類」「加工方法」などいろいろな要素が重なり合って差別化されていますが、もう一つ「紡績による糸の太さ・撚回数」によってタオルの感触が変わったり、表現したいデザインをより鮮明に表現する事が出来ます。
パイルの糸を何にするか?も大きなポイントになると思います。タオルのテクニックによっても最適な糸を選択することでデザインの再現性が全然違ってくることがあります。
糸番手
タオルは主に綿糸を使って作られますので、綿に絞ってご説明します。綿「糸」は綿「花」を紡績して「糸」にします。綿花は自然な作物で熱帯~亜熱帯地方で育ちます。北半球では春に作付けし、秋に収穫します。綿花の収穫期は乾燥していることが望ましく、特に霜に弱い植物です。収穫期の綿花はこんな姿です。
白い綿花(コットンボール)を収穫して紡績工場へ渡されます。紡績工場にて収穫した綿花は、紡績の各工程を経て最後に撚りをかけて糸にします。タオルは比較的太い糸が使われますが、その太さを「番手(ばんて)」によって表現します。
綿番手は、1ポンド(453g)あたり840ヤード(768m)の長さの糸が「1番手(いちばんて)」と決められています。重さが1ポンド当たりの長さで番手が決まります。この方式のことを「恒重式番手(こうじゅうしきばんて)」と言い、数字が大きくなるほど糸が細くなります。タオルのパイルは、20番単糸(にじゅうばんたんし)が良く使われますが、この糸は1ポンド(453g)当たり16,800ヤード(15,360m)の太さの糸になります。
単糸・双糸
糸の太さの違いは番手(ばんて))によって表現する事はご理解いただけたと思います。次に単糸(たんし)・双糸(そうし)を説明します。綿から糸にする紡績の工程でタオル用の糸は主として、16番単糸(じゅうろくばんたんし)、20番単糸(にじゅうばんたんし)、30番単糸(さんじゅうばんたんし)が生産されます。この時に紡績された糸はすべて「単糸(たんし)」です。
次に「単糸(たんし)」同士を2本撚り合わせたものを「双糸(そうし)」と呼び、デザインの表現であったり強度(耐久性)を上げる時などに使用されます。
双糸(そうし)にすると糸の強度が増すのが特徴ですので、業務用(ホテルのタオル)などに使用されることもあります。もうひとつ弾力性が強くなるのでパイルが立ち上がりやすくなります。単糸より双糸の方がパイルが立ちあがっているので、先染ジャガードで細かなデザインを表現したいと時は30/2(さんじゅうばんそうし)がおすすめです。染料プリントで細かなデザインを表現したい時も30/2(さんじゅうばんそうし)の方が再現性は優れています。
日本のタオルで良く使われる双糸(そうし)は、30番双糸(さんじゅうばんそうし)だと思います。30番双糸(さんじゅうばんそうし)は、「30/2」という記号で表現されたのを見たことありませんか?20番単糸(にじゅうばんたんし)は「20/1」という記号になります。表示方法と読み方を2つご紹介します。
タオル工場では、担当者によってはこ、下記(赤字表記)のように呼ぶこともあります。(ご参考まで)
最後に30/2(さんまるそうし)は、20/1(にじゅうばんたんし)よりデザインによっては綺麗に表現する事が可能ですが、コストはあがりますのでご注意下さい。
どちらを使うかという判断(さじ加減)は、バイヤーさん腕も見せ所だと思います。
微妙な判断は、信頼できる工場の担当者に相談するのが良いと思います。