2023年の輸入タオルの統計(速報版)が今治工業組合のホームページで公開されましたので、分析して見ました。日本の輸入タオルの合計は、63,761トン(前年63.472トン)前年対比100.5%でした。コロナ前(2019年 72.863トン)でしたので対比は87.5%(△9,102トン)と一度下がった数字は回復していません。
2023年日本のタオルマーケットの統計は、76,926トン(前年77,781トン)でした。前年対比98.9%で855トン下回りました。下回った大きな要因は、日本製のタオルのダウンでした。
日本製のタオルの統計は、13,165トン(前年14,309トン)1,144トンのマイナスでした。今治製のタオルの統計は、7,612トン(前年8,565トン)915トンのマイナスでした。日本製のダウンのほとんどが今治製タオルで、マーケットのダウンに影響した感じでした。
2023年のタオルマーケットの海外生産比率は、「82.9%」,国産比率は「17.9%」でした。今治製のタオルの比率はマーケット全体の「9.9%」(昨年11.0%)でした。
本題の、タオルの製造国(輸入先)を2016年~2023年までの推移表を作成しましたのでご覧ください。
2023年の輸入高1番の国は、ベトナム製のタオルでした。2位が中国、3位がインドでした。ベトナムと中国の合計は、輸入タオルの94.2%、タオルマーケット全体の78.1%を占めています。その中でもベトナム製タオルは、30,419トン(前年29,864トン)555トンのプラス、前年対比117.1%と大きく伸びましたが、コロナ前(2019年34,297トン)対比88.7%に留まりました。中国製のタオルは、29,667トン(前年29,421トン)246トンのプラス、前年対比100.8%でしたが、コロナ前(2019年32,207トン)対比92.1%で完全回復に至っていません。
まだタオルマーケット自体が回復しきれていないと思いますが、長引く円安も影響があると思います。コスト削減は、至上命題と思われます。
タオルを輸入するには8種類の費用がかかります。その中で輸入コストにかかる重要な要素の一つ「関税」があります。ベトナムやタイ、インドネシアなどで生産されたタオルの輸入には、生産国で発給された原産地証明書(Certificate of origin)を提出することで特恵関税の適用を受ける事が出来ています。EPA特恵を適用する場合は、「2国間経済連携協定のEPA原産地証明書」を税関に申告し、「原産地基準」に見合った商品と認められれば、「関税をゼロ」にすることが出来ます。
一方、EPAを締結していない中国から輸入するタオルは2021年まで、関税は7.4%(WTO協定)がかかっていましたが、「RCEPの発効」により中国製のタオルの輸入関税が下がっていくメリットが出てきました。2022年1月よりすでに関税のダウンは始まっており(7.4%→6.9%)、2022年4月には「6.9%→6.5%」、2023年4月には「6.5%→6.0%」、2024年4月には、「6.0%→5.6%」に下がります。そして、少し先になりますが、2036年に完全に撤廃される予定です。それまで段階的に下がっていくことになります。
詳しくは、「RCEP発効」タオルの「対中国」輸入関税撤廃教えます!」をご参照ください。
円安が止まらない時代に突入しました。こんな時だからこそ、「RCEPによる関税ダウン」をうまく使ってすこしでもコストダウンする事をお勧めします。
よろしければ、タオルマーケットの推移(1997年〜2023年)もご参照ください。
タオル輸入国推移の過去データは、こちらからご覧ください。
タオルマーケット推移の過去データは、こちらをご参照ください。