タオルバカ一代 ㉖(WEBの成功と中国人の面白話し)

(笑顔で迎えた天猫店開始)

 天猫(TMall)にSHOPが開店することが決まると、どの商品を販売するか慎重に議論しました。所有しているブランドの中から、第一統括で販売している百貨店での展開と問題が発生しないように、商品選定を行いました。タオルの撮影に立ち会うため、スタジオに向かいました

 撮影に臨み、終わった画像を見ると、タオルにボリューム感がなく、広げて撮影されたものが多く、これでは売れないと判断し、撮影済の画像をすべて取り直すよう指示しました。

 タオルを畳み、畳んだ方の丸みを手前にして撮影するコツを教え、早速撮り直しに取り掛かりました。出来上がった画像を見て感心しました。タオルは本物よりもはるかにボリューム感が出ていました。まるで魔法をかけたかのようでした。

 笑顔で合格を出し、いよいよ販売がスタートしました。

(WEB アリババタオバオ天猫 11月11日独身の日)

 中国のWEB販売の歴史を振り返る際、11月11日の独身の日は避けては通れないキャンペーンとして知られています。最初の年には、全ての商品が半額になる日としてスタートしたと記憶しています。当時、私たちが掲載していた商品は、百貨店でも販売されているものが多く、そのためその日に限って半額にすることは許可されていませんでした。 

 他店では、バンバン半額セールを実施しており、売上が何倍にも増えたとの情報が入ってきました。その理由を探るため、詳しく聞いてみると、11月10日の23時59分までのお店と11月11日の00時00分からのお店で商品をすべて入れ替えていたことが分かりました。彼らは事前に11月11日だけの特別なお店を準備し、半額に対応できる商品にすべて切り替えていたのです。日本でもアウトレットで販売している商品の中にもOutlet用に作り込まれた商品もあるように、独身の日の1日の為だけに商品を作り込み販売していたのです。ただし、天猫にはルールがあり、11月11日の1日限りの販売だけではなく、キャンペーン前に自社サイトにおいて、ある一定期間上代で販売されていることが条件でした。

 初年度の天猫での独身の日の売上が「5200万元(現レートで約10.4億元)」だったことは、当時としては驚異的な数字であり、その成功に刺激を受けて翌年から本格的にキャンペーンに参加することを決意しました。2年目、3年目と続けてキャンペーンに参加し、次第に規模が大きくなり、商品数も増え、売上も拡大していくコツをつかんでいきました。

 天猫は中国のECマーケットにおいて、高品質なサービスや独身の日のキャンペーンなどを通じて、大きな革命を起こしました。このキャンペーンは新規顧客の獲得や既存顧客との関係の強化に貢献し、天猫は中国のオンライン小売市場でのリーダーとしての地位を確立しました。売上は急増し、AIやライブストリーミングなどの革新的な手法を活用して、顧客の期待に応えています。2015年に1000億元(現レート換算で約2兆円)突破し、2023年には売上規模が約3100億元(現レート換算で約6兆2000億円)達するなど、驚異的に成長します。

 我々のWEB販売への戦略が成功し、成果を収めていきました。

(百貨店の代理店からのクレーム)

 当初眼中にされていなかった天猫のサイトは、販売が好調になっていくと、お客様は百貨店の店頭でスマホを出して、お店で買うかWEBで買うか、どちらが得かを考えて購入する姿を見受けるようになりました。

 WEBでの購入には特典がつくこともあり、得な方を選ぶ顧客が現れ、第一統括で契約している代理店からクレームが相次ぐようになりました。「我々がお金をかけて展開している百貨店は、実質的にWEB店舗のショールームとして利用されている!」「同じ商品の販売を直ちに中止せよ!」といった内容のクレームが年2回の代理店会議で紛糾しました。

 代理店の人々は、新しいトレンドに敏感な中国の消費者の反応を見逃さず、世の中の急速な変化に対する危機感を抱き追求してきました。会社は毎回の会議でのクレームがルーティン化していく中で、WEBの将来性を否定できないと認識し、上手に対応してこれを乗り越えていきました。

【中国人面白話し】


(雨が突然降ると地下鉄の出口に傘売りが登場する)

 上海では、地下鉄が急速に発展し、1号線から15号線までが網の目のように広がっていました。商談の際、晴れていたのに帰り道に突然雨が降ることがあり、困ることがありました。しかし、上海では雨が降ると必ず階段の出口に傘売りが現れます。いや〜助かったと思って値段を尋ねると、そんなに高くないのでつい買ってしまいます。気がつくと、晴れの日には傘売りは見当たりません。しかし、突然雨が降り始めると、必ずと言っていいほど彼らが現れます。

 雨がポツン、ポツンと降り始めたら、さぁ〜出撃!とばかりに今日も商売繁盛だ〜!と仕事を始めるのでしょう。いや、優秀な天気予報士が仲間にいるとしか思えません。その傘売りが、雑貨屋で買うよりもちょっと高い程度の値段で売るのが、長続きする秘訣だったかもしれません。

(ボーナス支給日の朝、皆が皆のもらった金額を知っていた!)


 ボーナスは1年の締めくくりとして、春節休み前の一大イベントとして支給されます。1年の業績がしっかり反映されないと、優秀なスタッフが去ってしまうこともあります。人事評価は、頑張った証が反映するしくみがポイントで、それぞれの企業に独自な仕組みで運営されています。

 しかし、不思議なことに、支給した日の朝、皆が皆のもらった金額を知っているんです。日本では、よっぽど仲の良い仲間でない限り、このトップシークレットな事項を教えないのに、ここでは完全に透明になっていました。

 毎年同じで、財務部長が怪しいと思っていました。財務部長が変わっても同じでしたので、やはりこの役職の役割だったのかもしれません。(笑) 

(商談日がリスケする役職の高い中国人)


 商談は、顧客の会社へ出向いたり、事務所に来ていただいたりすることがありました。たまに、リスケになり、後日再び会うことになる時がありますが、そのリスケに天気が関係あることに気がつきました。雨が突然降ると、「梅津さん(中国語読みメイチンさん)急用が出来ちゃって、明日の同じ時間に変更していい?」と電話が来ます。考えてみると、役職の高い中国人ほどそうでした。天気予報を見ながらアポの日時を決めたつもりが、突然の雨で気が変わります。

 私は天気予報を見てアポを依頼したりするようなことはしませんが、我々は突然の雨でもリスケは出来ませんよね!

(続く)

タオルバカ一代 ㉖(WEBの成功と中国人の面白話し) 完

タオルバカ1代㉗ (厳しさと優しを併せ持つ中国の人たち

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