タオルバカ一代(配属)③

(経理部へ配属)

 経理部は、20人程度のメンバーが、学校のように机を同じ方向に向けて仕事をしていました。男性はたった3人、私は4人目でした。私の席は、部長、課長、課長代理と役職者が並ぶ、後ろの席になりました。あとは全てが女性で、係長、主任のベテランの数名以外は、入社10年以内の女性がたくさんいました。自分は男性なので、将来的にこの部署で上司の立場にならねばと心の中では思いつつ、半年遅れの新入社員として、まずは女性中心の組織文化を持つ職場で認めてもらえるように、自分の能力や貢献や信頼を重ねていくことが重要だと思っていました。

(出社初日から実行した毎朝の机拭き)

 そこで、初日から仕事前に全員の机を拭く事を決めて実行しました。机を拭く当番は、若い女性の順番制になっていましたが、10月1日からは、私の仕事にしてもらいました。30分だけ早く出社して、次の新入社員が来るまでの約半年間続けました。女性たちからの評判はすぐに上昇し、ほんの1ヶ月も経たないうちにスムーズにすんなり溶け込むことが出来ました。昭和の男性が支配的だった時代に、細やかなスタイルの変更がうまく行ったのです。

(役立ったアルバイトの経験)

 女性中心の組織文化の勉強は、実は学生時代のアルバイト先で得たものでした。当時日本一高いビルの最上階の宴会場で、大学を卒業するまで働きました。仕事の仕組みは、一部の社員(黒服)が結婚式等の運営をコントロールし、その他のスタッフは配膳会から派遣されたパートやバイト(茶服)が宴会の進行をサポートしていました。

 私も配膳会から派遣され、大学生ながら黒服を着て結婚式を仕切る立場まで昇進しました。配膳人には、年配の女性が多く、女性多数の環境において、コミュニケーションや指導のスタイルには工夫が必要でした。言葉使いにも注意を払い、時には意見を受け入れる姿勢を示すことで、驚くほど協力的な連携が実現しました。

 このちょっとしたことのコツを得ていたのかもしれません。

(順風満帆でなかった挑戦)

 アルバイトで稼いだお金は、全て趣味の自動車レースにつぎ込みました。決して順風満帆ではない経験でしたが、経験から得た教訓は、結果(過去)は変えられないと言うことです。そして、起きたことには必ず理由があり、全ては自分の責任であると言うことを学びました。

 言い訳のできない世界で鍛えられたことは、将来への大きな投資となりました。

 青春の1ページを振り返って見たいと思います。

タオルバカ一代(配属)③ 完

タオルバカ一代(青春)④へ続く)

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