タオルバカ一代 ①(タオル業界への第一歩)

(タオル業界への第一歩)

 約40年前、私はあるタオル大手の会社説明会に参加していました。その当時、その会社にはタオル部門だけでなく、アパレル部門も存在していました。特に注目すべきは、日本中で大ブームを巻き起こしていた3大テニスウエアブランドの一つを手がけていたことです。そのため、テニス部出身の体育会系の学生たちが、会社の説明会に大挙して訪れていました。私自身はタオルの会社と思って参加した説明会で、意外な展開に驚きました。少しばかりの違和感がありましたが、これが私のキャリアの第一歩であり、タオル部門で未来への挑戦が始まることを予感していました。

(社長面接であった四角い顔の好青年)

 難関を乗り越え、社長面接の待合室に、緊張した私は30分以上も早く到着しました。待合室に足を踏み入れると、そこには顔の四角い男性がすでに座っていました。軽く会釈を交わし、少しばかりの会話を交わして見たら、順番は、彼が一番で私が二番ということでした。緊張を押し殺しながら面接を受ける時間を待ちました。面接が終わり、後になって入社式で彼と再び会うことができました。どうやら、私たち二人は社長面接を突破したようでした。私たちの間には特別な縁を感じました。彼の四角い顔立ちを見て、私はすぐに彼だと分かりました。お互いに挨拶を交わし、初めての対面を楽しいものにしました。

 彼は体育会テニス部のキャプテンだったそうで、好青年という印象を受けました。私は、組織には所属せず、一人でサーキットに通い、自動車レースに情熱を注いできたことを話しました。しかし、彼の反応は少し冷静で、私の話をあまり受け入れてくれないようでした。彼の表情からは、「チンピラのような奴だ」という言葉が読み取れるかのようでした。新入社員として、競争の舞台は既に始まっているようでした。私は自分の未熟さを感じ、臨戦態勢が整っていないことが心配になってきました。

 ただし、この出会いが新たなステージへの刺激となり、数十年後に執行役員となり、役員会で彼と席を並べることになります。

(新入社員研修)

 一般的な会社では4月1日が入社式とされていますが、この会社では3月23日が入社式でした。春休みが1週間少なくなってしまいましたが、無事入社式を迎えることができました。東京本社、大阪支店、福岡支店から採用された新入社員が一堂に会し、顔を合わせるのは初めてでした。

 研修が進むにつれて、私は勝手にこの中で誰が将来出世しそうな人を見極め始めました。まず目を引いたのが東京採用のO君で、イケメンでスポーツマンのような雰囲気の青年でした。彼は、講師が何か質問すると大きな声で必ず一番で手を上げます。聞くと、学生時代にスキーの先生の資格を持ち、冬は山でスキーの指導に携わってきたとのことでした。スポーツマンである彼の好感度は目の離せない存在と感じました。

 もう一人は大阪支店で採用されたY君で、関西人らしい漫才調の話し方は周囲を笑わせ、同期のみんなや講師にも好評でした。彼のユーモアのある雰囲気は魅力的で、将来有望だと感じました。

 社長面接で会ったJ君は、落ち着いていてマイペースな感じで、彼からはすでに幹部になるであろうという雰囲気を感じました。

 ご縁とは不思議なもので、O君、J君はアパレル事業部に配属され、半年遅れて経理部へ配属された私も本社勤務となり、本社で3人の同期での付き合いが始まりました。スキーやテニスや野球を通じて友情を深めることが出来ました。スポーツは、車しかやってない私はいつも出来の悪い生徒で、彼らが先生として辛抱強く指導してもらいました。大阪のY君は、入社して10年が過ぎたころ、大阪支店に出張するようになってからの付き合いが始まりました。出張の度に食事後は、カラオケで彼の美声を聴く仲になっていきました。

(健康診断の意外な結末:新たな船出の先に待つ試練)

 さぁ、これから社会人として頑張ろう!と張り切っていたその瞬間、研修中の健康診断で再検査に引っかかるという驚きの出来事が私を襲いました。研修を受けている数十人の中で、たったの2人だけが再検査の対象だと告げられました。そのうちの一人は、身長185cmでアメフト出身の大男で、心臓に影があるとのこと。そして、もう一人は私自身で、肺に影があるとのことでした。

 正直に言って、最初は「レントゲンの埃だろう」と軽く考えていました。再検査のために医療施設に向かいましたが、その結果は予想外でした。私だけ、GO TO HOSPITAL!すぐに入院して治療するようにと告げられました。

 ただ、私はまさに新入社員として入社したばかり。どうしよう、どうなってしまうんだろう…と、不安が一気に心をよぎりました。心臓がバクバクと高鳴り、一筋の汗が背中を伝いました。結果を報告するため、私は心臓の鼓動が耳に響く中、再び会社に向かいました。

 その会社は東京の問屋街の端に位置していました。診療所からの帰り道、右も左も問屋が星の数ほど並ぶ光景が目に焼き付きました。そんな中、頭の中で「この会社を首になっても、まぁ何とかなるだろう…」と自分を奮い立たせる思いが交錯しました。それでも、心は不安で一杯でした。

 そして、会社に戻って驚くべき結果を受けました。その結果は…

タオルバカ一代 ①(タオル業界への第一歩)完

(タオルバカ一代 ②(半年遅れの新入社員)へ続く)