タオルの構造 「筬」「打ち込み」について

タオルは、「①地経糸(じたていと)」「②パイル経糸(たていと)」「③緯糸(よこいと)」の「3本の糸」で構成されています。地球の経緯と同じで、織物の縦方向に通っている糸を経糸(たていと)、横方向に通ている糸を緯糸(よこいと)と言います。

タオルの経糸(たていと)は「地経糸(じたていと)」と「パイル経糸(たていと)」2本があり、緯糸(よこいと)3本を交差させてパイルを形成します。地経糸(じたていと)はテンションを強く張り、パイル経糸(たていと)はテンションを弱く張り製織します。

一般の生地は「経糸(たていと)」と「緯糸(よこいと)」の2本の糸で布を織り上げますが、タオル生地は「経糸(たていと)」と「緯糸(よこいと)」で組織された布にさらに「パイル経糸(たていと)」を加えて3本の糸で織り込まれています。「地経糸(じたていと)」と「パイル経糸(たていと)」と別々のビームに巻き、それぞれの糸を織機の「筬(おさ)」に通し、テリーモーション技術によって「緯糸(よこいと)」を交差させてパイルを形成し、立体感のある布を織り上げます。

「筬(おさ)」は、櫛(くし)のような形をしていて、櫛の隙間に「経糸(たていと)」を通します。櫛の密度が「筬(おさ)密度」となり、その密度の違いによってタオルの風合いが変わります。

それでは、筬(おさ)密度について考察してみたいと思います。

例えば、60㎝x120㎝のバスタオルを作ると仮定します。このタオルの幅は60㎝です。このタオルを2種類の違った筬(おさ)を使ってタオルを作ってみたらどうなるか、考えてみます。

筬密度「A)42本/インチ」と「B)50本/インチ」の2種類のタオルを設計する場合、60㎝幅のバスタオルに使うパイル経糸本数を計算してみます。

A)42本/インチ=42本/2.54㎝=16.5本/センチ→ 60㎝×16.5本=990本 → A)のバスタオルは経糸990本。

B)50本/インチ=50本/2.54㎝=19.7本/センチ→ 60㎝×19.7本=1182本 → B)のバスタオルは経糸1182本。

☆ 同じ60㎝幅のタオルなんですが、A)の経糸本数は990本、B)の経糸本数は1182本で形成されるタオルになります。 A)タオルよりB)タオルの方が糸が192本(119.4%)多いので、触った感じが違った風合いのタオルになります。経糸の密度が高くなればしっかりしたタオルになりますが、重量も上がるので比例してコストも上がります。タオルに対するお客様の要望は様々ですので、一概に密度の高いタオルだから素晴らしいと言う訳ではありません。この微妙な味加減が、企画立案されるあなたの腕のみせどころなんです。

タオルの幅を司る「経糸(たていと)の密度」は、「筬(おさ)の密度」によって変わることをご理解いただけましたでしょうか?

さて、もう一つタオルの風合いを決める大事な要素に「緯糸(よこいと)密度」があります。

経糸(たていと)密度は、タオルの幅を何本の経糸を使用して作成するか?でした。次の考察「緯糸(よこいと)密度」とは、タオルの長さを何本の緯糸(よこいと)を使用して作成するか?です。

先ほどのバスタオルは、60㎝x120㎝のバスタオルを作ると仮定しました。このタオルを2種類の違った「打ち込み(うちこみ)」でタオルを作ってみたらどうなるか、考えてみます。

120㎝の長さのバスタオルを A)緯糸(よこいと)密度「42本/インチ」と B)「50本/インチ」でタオルの緯糸(よこいと)本数を計算してみます。

A)42本/インチ=42本/2.54㎝=16.5本/センチ→ 120㎝*16.5=1980本 → A)のバスタオルを緯糸1980本。

B)50本/インチ=50本/2.54㎝=19.7本/センチ→ 120㎝*19.7=2364本 → B)のバスタオルを緯糸2364本。

☆ 同じ120㎝の長さもタオルですが、A)の緯糸本数は1980本、B)の緯糸本数は2364本で形成されるタオルになります。A)タオルよりB)タオルの方が糸が384本(119.4%)多いので触った感じが違った風合いのタオルになります。

タオルにはミミやヘムやボーダーがあり、この計算は厳密には少し違うかもしれませんが、あくまで一般的なタオルを基準としたものを机上で計算して2種類のタオルを比較してみました。

タオルの風合いを決める要素に「筬」「打ち込み」の密度の他に「パイル倍率」「綿花の種類」「紡績方法による糸の太さ・撚回数」や、タオルが出来上がったあとの「加工方法」などたくさんあります。

「筬」「打ち込み」の密度も風合いやコストに大きく関わっていることをご紹介いたしました。

タオル作りって本当に複雑でむずかしいですね。

おわかりにならないことは是非タオルのプロであるエムアイティ株式会社にご相談下さい。