ちゃんと洗ったはずのタオルがなんだかいやな臭いがする、、、特に夏場にそんな経験のある方がいらっしゃると思います。そもそもタオルが臭くなる理由ってなんだろうか?この観点から抗菌防臭タオルを考察してみたいと思います。
タオルの臭いの原因はそもそもなんだろうか?
タオルの臭いのもとは「雑菌」とされています。悪臭の原因となる細菌(雑菌)にはさまざまな種類がありますが、「モラクセラ菌(部屋干し臭)」「黄色ブドウ球菌(アンモニア臭)「マイクロコッカス菌(汗臭)」などがさまざまな悪臭の元になっていると考えられています。
これらの雑菌たちは、「高温」「高湿」の環境の中で「ある栄養」があると繁殖しやすいと言われています。日本の夏に雑菌が繁殖しやすいのは、雑菌が増殖に一番好む「気温約30~40℃」で「湿度約80~85%」になりやすく、皮脂・汗・汚れなどを「栄養」にして繁殖し、悪臭をはなちます。
菌を増やさないようにすれば悪臭の元を絶てる訳ですから、抗菌防臭加工したタオルは「臭いにくいタオル」になるわけです。
臭いにくいタオルには、抗菌防臭加工タオルと消臭加工タオルがあります。前者は菌をつかなくして臭わなくする方法で後者はタオルについてしまった菌を薬剤で殺菌して臭わなくさせます。
菌に対するアプローチの仕方がそれぞれ違うので、抗菌防臭+消臭加工タオルの両立は出来ません。
抗菌タオルの国際基準である「SEK基準」
タオルの抗菌防臭加工にはさまざまなやり方があるので手法はご紹介しませんが、抗菌加工したタオルが「SEK基準」に合格しているかどうかが「抗菌タオル」と呼べる目安になると思います。
「SEK基準」は、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めた繊維製品認証基準です。この協議会は1983年産・学・官が一体となって通産省(現経産省)の指導の元発足しました。その後1989年(平成元年)に繊維業界の自主基準を元にした「抗菌防臭加工マーク」の認証を開始しました。
この試験方法がJIS L 1902(繊維試験の抗菌性試験方法及び抗菌効果)及びISO20743にも制定され、抗菌タオルの国際基準としても利用されています。
このマーク見たことありますよね。
抗菌タオルの合格判定は、洗濯10回後「抗菌活性値」が「2.2以上」
タオルの抗菌効果試験方法ですが、抗菌加工したタオル(Aタオル)と何もしていないタオル(Bタオル)に菌をつけて18時間培養して比較します。
抗菌加工したタオル(A)は、何もしなかったタオル(B)より菌の増殖を抑える事が出来たかを試験します。
AタオルとBタオルの18時間後の菌の増殖度合いの差を数値で表現し、この値が大きいほど「抗菌効果」が高いと言えます。その効果を評価する値が「抗菌活性値」です。
ここに抗菌タオルの品質試験報告書がありますが、赤丸にご注目下さい。ここに「抗菌活性値」の項目があります。
抗菌加工したタオル(A)の洗濯前と洗濯10回後の数値が乗っています。
黄色ブドウ球菌に対しての数値が「5.7」、モラクセラ菌に対しての数値は「5.9」です。
どちらも洗濯10回後の数値です。
タオルを10回洗濯すると効果が下がる抗菌タオルもありますので、洗濯前と洗濯10回後も比較します。SEKの抗菌防臭タオルの合格基準は、洗濯10回後「抗菌活性値2.2以上」ですからこのタオルは「合格」で、かなり高い抗菌防臭効果があると思います。
洗濯の耐久性が「たった10回」持ったら「合格」というのは、タオルの洗濯頻度から考えても少ないような気がしますが、これが現在一番ポピュラーに行われている抗菌防臭試験です。
洗濯耐久性の高い(半永久)のタオルを作ることも可能ですので、素材選びに工夫をされれば良いと思います。
抗菌タオルの安全性試験
安全性の試験方法です。
コロナワクチンでも、効果があってもアレルギーなどの副反応は大きな問題ですよね。抗菌効果がある事がもちろん大前提ですが、安全性の確認はとても大事なことなんです。
SEKマークは、機能加工繊維製品の認証マークとして安全性の確保を基本として、確かな性能の確保に努めながら認証を行っています。
新しい素材(薬剤)などで抗菌タオルを作る場合は、「確かな性能(抗菌性)」の確認と同時に「安全性」の確認も行わなければ片手落ちになります。
すでに安全試験を実施し、SEK基準に合格した素材(薬剤)を使用することをお勧めします。