シャーリングタオルのメリットデメリット

タオルの表面をビロード(ベルベット)タッチにするのがシャーリングタオルです

シャーリングタオルとは、タオルの「表面」にあるループ状になっているパイルをビロード(ベルベット)タッチに仕上げたものをいいます。シャーリングは片面だけビロード(ベルベット)タッチにするもので「裏面」は、パイルです。

シャーリングタオルのメリット

シャーリングタオルの最大のメリットは、プリントした時の「デザインの再現性を良くする」ことですが、その上「パイルを引っかけにくい」、「軽くて嵩張らない」、「小さくたためて持ち運びに便利」「肌さわりの良さ」であることがあげられます。

表面にあるパイルを刈る事で先端を均一化するので、細かなデザインやロゴのデザインをプリントする場合は、シャーリングは必須です。タオルは3本の糸で織り上げた生地ですの、シャーリングのタオルと言えどもデザインの再現性にも限界はあります。但し、シャーリングしないパイルのままのタオルに比べれば、かなり細かなデザインまで再現できるようになります。

プリントの手法(インクジェットシルク染料シルク顔料)でも差が出ますので、デザインが出来上がったら工場に見せて再現性のチェックをすることをお勧めします。

シャーリングタオルのデメリット(シャーリングタオルは水を吸わない?)

シャーリングのタオルは水を吸わないから嫌いだという声を多く聞きますが、肌感では確かにそうだと思います。タオルを設計する立場から考察しますと、繋がっているパイルをカットすることで糸が抜けやすくなる為、地経糸と緯糸の密度を上げてパイルをしっかり挟み込むように設計します。シャーリング生地は、地経糸と緯糸を通常のタオルより多く使う、言わば高級タオルの仲間なのですが、どうも肌感が今一と言えます。

化学的に吸水性を診断しますとカットされた毛先が開き、毛細管現象が増幅されているので、パイルの生地以上に良く水を吸います。但し、パイルの片側の約2/3位をカットしてしまう為、水を吸った際の全体の保水量が減少することと、身体を拭う際に水分を拭き取るといった手応えが感じられないこともあって、「シャーリングタオルは水を吸わない」といった印象をもたれてしまっています。

「全シャーリング」と「半シャーリング」と「スチームシャーリング」

シャーリング加工は、鋭角に曲げた板上に生地を送り、その頂点で立ち上がった表面のパイルの上部を1/3~2/3前後をスパイラルカッターで刈り、ビロード(ベルベット)タッチにします。

一般的にシャーリングタオルと呼ばれるものは、パイルの刈り残しがないフラットな仕上げ「全シャーリング」になります。この場合は、パイルの2/3程度をカットします。刈り残さいように、シャーリングの技術や機械のメンテナンスはとても重要ですが、それ以外にもパイル糸の種類(双糸や単糸)やサイジング(糊付け)などによっても影響が出る繊細な商品で、高い知識と技術力を要します。

一方、「半シャーリング」と呼ばれる生地があり、まんべんにパイルの刈り残しがあるタオルです。デザインの再現性は、小さなパイルが表面に残っているので、全シャーリングに比べては落ちますが、パイルのままプリントするよりは良くなります。刈る面のパイルの長さを長短で織り、長いパイルだけを刈るように設計します。全シャーリングほど高度な技術やメンテナンスを要求されませんので、価格も全シャーリングに比べて安価になります。

もう一つ、無撚糸を使った「スチームシャーリング」というテクニックがあります。ジャガード織りと併用して凹凸を出してデザインを表現する手法です。技術的にも設備的に少し手間がかかるために高価になりますが、とても人気があります。詳細は、後日別のページでご紹介したいと思います。(少しお待ちください)